作品紹介Works
高齢者
宇治福祉サービス公社 デイサービス浴室改修
概要
宇治福祉サービス公社様が運営されているデイサービスの浴室改修・リフォームです。宇治市の中で3つのデイサービス事業所を展開されており、 いずれの事業所も竣工から十数年が経過し、浴室で様々な問題が顕在化していました。現在の浴室が抱える問題は何か、どのような入浴を目指すべきか、そもそもデイサービスとしてどんなテーマを掲げていくのか。浴室を改修するにあたり、各事業所にゆう建築設計のスタッフが一人つき、共同で議論を重ねながら、事業所ごとの改修案を検討していきました。
■顕在化していた入浴の問題点
改修案の検討を進める中で、現在の入浴の問題点として下記のことが明らかになりました。
◇入浴に余裕がない
制限時間内に大勢の利用者が入浴を行うため、入浴が流れ作業的になり、利用者が十分に入浴を楽しめていませんでした。
◇プライバシーが守られていない
一般浴・個浴・機械浴の間に仕切りがなくプライバシーが確保されていませんでした。特に、視線を気にする個浴・機械浴の利用者にとっては大きな問題となっていました。
◇お風呂に魅力がない
利用者に入浴を十分に楽しんでもらうには、今のお風呂は魅力に欠けていました。
◇設備面での不都合
浴室にあるカランの位置が低いため使いづらい、浴槽の段差が認識しづらく危ない、フロアから脱衣室越しに浴室が見えてしまうことがある、洗い場が狭い、等々 設備上の諸問題がありました。
■発表会
各事業所が問題点を整理し改修案をまとめた時点で、3事業所合同での発表会を行いました。発表は資料作成から当日の発表まで、各事業所スタッフが行いました。
それぞれの提案は上記資料の通りですが、整理すると下記のような提案がありました。
◇パウダールームの設置
入浴後の整髪の時間をゆったりと過ごしてもらうため、パウダールームの設置を提案。それによって、身だしなみを整える時間を入浴に組み込む。パウダールームは生活訓練や、洗髪だけがしたい利用者への対応にも使用できる。またパウダールームを浴室の出入口に設置することで、脱衣室とフロアの間に緩衝地帯を作ることができる。(東宇治事業所)
◇菜園、掲示板の設置
お風呂での利用者同士の話題が盛んであるため、その会話・コミュニケーションを促進する仕組みとして、菜園・掲示板・壁画の設置を提案。利用者が育てた植栽や制作した作品の掲示、富士山の壁画等を設置し、話題が生まれ会話が弾む浴室とする。(広野事業所)
◇多様な魅力を備えた浴室の配置
それぞれに異なる魅力を持つ一般浴・個浴・特浴を提案。広い一般浴、ジャグジーの個浴①、ヒノキの個浴②、装飾を施した特浴。体の調子によって個浴、特浴を選ばざるを得ない人にとっても、入浴を楽しいと感じて頂ける浴室とする。(西小倉事業所)
◇視線の操作
一般浴・個浴・特浴の間を仕切ることで、それぞれの浴室利用者が安心して入浴できる環境を整える。(各事業所共通) 仕切り方は事業所ごとにその性格を反映して異なる。西小倉事業所は個のプライバシーを優先してしっかりと壁で区切る形に。東宇治事業所はパーテションで軽く分ける形に。広野事業所は人の高さほどの間仕切りを置くだけとし、賑やかさが伝わる形にしています。
◇脱衣室の分割
脱衣を見られることは特に個浴・特浴の利用者にとって不安に感じられることが多い。浴室の中では視線を区切っていても、脱衣室がわかれていないと意味がない。できうる限り、それぞれの浴室に1対1で脱衣室がつく配置とする。(各事業所共通)
■工事
発表会に至る改修案の検討の中では、各事業所がそれぞれの理想を描き、形にすることを重視しました。その後コストを勘案し、改修案のブラッシュアップを行い、実現可能な提案について工事を行ないました。
- 建築主
- 宇治福祉サービス公社
- 所在地
- 宇治市
- 用途
- デイサービス浴室改修
- 担当者
- 亀田学 , 丸川景子