設計コンセプトConcept
透析
重度化対応・認知症対応
高齢化社会の現在、一般財団法人日本透析医学会統計調査委員会(図説 わが国の慢性透析療法の現況 2015年12月31日現在)によれば、2015年末の全国透析患者のうち75歳以上の高齢透析患者の割合は10万人を超え全体の32%、70歳以上は全体の47.2%としており、透析患者の高齢化が進んでいます。
高齢透析患者は認知症や合併症を有する比率が高く、介助者の不在などを背景に、自力での通院が困難な患者が増えていますが、透析患者であることを理由に受け入れてくれるすまいが不足しており、入院施設での透析を余儀なくされる場合も少なくありません。
ここでは、入院透析患者の特性を踏まえて建替え計画を行った病院の事例をご紹介します。
○重症化対応・・・寝たきりの患者がベッドごと移動できる動線の確保
○認知症対応・・・入院透析と通院透析のエリア分離、大声や失便による音・臭いへの対策
case1 増築棟に透析室を移設
堀ノ内病院 「入院透析と通院透析の混在する治療環境を改善」
入院透析患者の7割が認知症患者です。認知症患者の大声や失禁・失便が問題となっており、人工透析センターを増築棟に移設するのを機に治療環境を改善しました。
入院用透析室を通院用透析室と分ける
重症化・認知症対応として入院用透析室を通院用透析室とは別室とすることで、認知症患者による大声や失禁・失便の影響が通院患者に及ばないようにしました。重症患者を考慮した動線計画
入院用透析室は、重症化した患者をベッドごと移動することに考慮し、EV前のスペースを十分に確保するとともに、短い移動距離で入室できる位置としました。中心に配置したスタッフステーション
入院用透析室と通院用透析室の双方向移動と監視のしやすさを考慮し、各透析室の中心に据えて、合理的なスタッフ配置としました。重症化・認知症患者の見守り
認知症患者や重症患者の急変時に即座に把握できるように、入院透析室側の壁一面をガラスにしました。入院用透析室内観/ ガラスの奥にスタッフステーションが見える