設計コンセプトConcept
透析
運営方針が透析計画を決める
コストコントロールが建築を実現する
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砂山 憲一 |
透析治療の計画は変化している
私たちは、クリニック、病院での透析治療施設の計画を多く行っています。
20年前に初めて大規模な透析施設の計画をおこないましたが、その時に患者さんの困っていることが空調の風の冷たさだと知り、ゆっくりした速度で吹き出すシステムを作ったのが私達の透析設計の始まりです。
その後、個室、準個室の工夫、プライバシー対策、入院透析と通院透析の混在への対応などを新たに作り上げ、最近では感染対応の仕組みを工夫しています。
透析施設の計画ではある種の標準化が進んだのですが、この数年各施設の運営方針によって、建築計画が大きく変わってくる事例が増えてきました。
作品紹介で取り上げたフロンティアグループの建築計画は他の施設と大きく異なる点があります。これからの透析施設は、それぞれの運営方針、治療方針をまず理解し、それに基づいた建築計画を提案し、経営される方と議論を重なることによって、事業の目的に合った建築が作れると思っています。
さらに、ここ数年の建築工事費の上昇により、コストを意識して設計することが必須となっています。
クリニックと病院では検討事項が異なる
病院透析ではクリニックでは検討しない項目が多く出てきます。
それは患者さんの状況が違うからです。入院されている方は、通院ができない状況の方です。高齢、認知症、身体重度、透析の病状が重度など入院を選択する理由は様々ですが、その方たちにあった治療の場を作らなければいけません。
病院透析については、「病院透析を計画するポイント」の記事で説明します。
クリニックと病院の透析治療建築に共通する要素は表1でまとめています。
私達に依頼があるとき、事業者の方はご自分の描かれる透析治療施設のイメージを持たれているでしょうが、建築設計側からみると、希望ベッド数が出てくるだけの時も多くあります。その場合は表1にまとめている各項目を順次打ち合わせしながら決めていく作業が続きます。

表1:主な打合せ項目
計画を決める大きな要素
1:治療室
・ 大部屋 準個室 個室
透析室の形態は患者の満足度に大きく影響します。但し、個室、準個室をどの程度設置するかはコスト
ともかかわる重要な点です。
・ 見守り
スタッフステーションからの見守り方式は施設によって考え方が異なります。治療効率、スタッフ配置
ともかかわりますので、ドクターの方針に沿ったベッドレイアウトを検討します。
・ 治療環境 プライバシー
ベッド間の間隔、プライバシーを守るためのスクリーンの形状など、患者さんの治療環境が重要です。
この点もドクターの考え方によって大きく建築計画は違ってきます。
2:治療室以外
・ 待合 更衣室
診察開始時間をフリーにして、個人に合わせた時間から開始するクリニックがあります。
ここでは待合室は不要です。
更衣室も着替え方式によって簡便化する施設があります。

個室 岡山中央病院

準個室 大雄山セントラルクリニック

大部屋 みらい内科クリニック
建築計画を実現するにはコストコントロールが必要
コストコントロールはイニシャルコストだけでなく、昇温方法、廃液の熱交換方法などランニングコストにかかわることも検討します。
・ 面積
透析治療に関する建物のコストの最大の変動要素は面積です。大部屋透析と一部準個室の施設と、
すべて準個室の施設では2倍程度の違いがあります。準個室そのものもゆう設計事例では1.7倍の違いが
あります。
どの程度の広さの施設にするかは、常にコストを算出して検討を行っていきます。
・ 仕様
面積ほど大きな差は出ませんが、カウンターなど透析施設内の仕様によってもコスト差が出ます。