設計コンセプトConcept

透析

感染リスクを低減する空調換気システム

空気調和・衛生工学会の考察

 2020 年6 月15 日、公益社団法人 空気調和・衛生工学会は、空調・換気によるCOVID-19の拡散はあるのか?2)の中で、空調・換気による感染症リスクの低減方法として換気による希釈とフィルタなどによる空中からのろ過を挙げ、人員密度を適切に管理した上で、換気回数2回/h以上を確保し、中性能フィルタが備えられている空調・換気システムでは、1 ~ 2mを超える範囲で新型コロナウイルス(SARSCoV-2)が飛散したとしても、その濃度は低く制御されるため、感染リスクは小さいとの考察を示しています。

ASHRAEが推奨するフィルタ性能

 ASHRAE(米国暖房冷凍空調学会)は、COVID-19が空調システムを介して伝染した報告はなく、空調システムが汚染物質を拡散させる可能性があるが、換気とろ過は感染リスク低減に寄与するとした上で、MERV-13,14相当のフィルタを推奨しています。3)

************************************************ ゆう設計では、これらの知見を元に感染症対策として、比色法90%の中性能フィルタ(MERV-13に相当4))を組み込むことのできるチャンバーボックスの設置を新たに提案しています。【新機能】      ************************************************

運用コストへの配慮

エアコンに付属している一般的なフィルタは大きな埃を取り除くためのもので、洗浄して繰り返し使用することができます。
一方、中性能フィルタはより細かい粒子の捕集効率が高く、性能を維持するためには取替えが必要となります。つまり、一般的なフィルタに比べて運用コストがかかります。

チャンバーボックスを設置した場合でも、平常時は一般的なフィルタを用いて空調運転をおこない、必要な時に適宜中性能フィルタを設置するという運用も可能です。

中性能フィルタ

透析クールの入替時に窓開け換気をおこなうことは汚染物質除去に有効ですが、過度の換気によって室温維持が難しくなることもあるので注意が必要です。
また、空気の汚染状況は確認しづらいことから、透析患者の感染を予防するためにNDIR方式のCO2モニターで室内CO2濃度を測定するなどして、日頃から室内空気環境を把握し、換気の悪い空間とならないよう留意することが大切です。

<参考文献>
1)厚生労働省. 商業施設等における「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気について,2020 年3 月30 日, https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000616069.pdf
2)公益社団法人 空気調和・衛生工学会 新型コロナウイルス対策特別委員会.  空調・換気によるCOVID-19 の拡散はあるのか?空気調和・衛生工学分野の専門家からの見解,2020 年6 月15日,http://www.shasej.org/base.html?recommendation/covid-19/covid-19.html
3)ASHRAE. Can HVAC Systems Spread COVID-19?. May 31,2020,https:www.achrnews.com/articles/143255-can-hvac-systems-spread-the-covid-19-virus
4)大垣豊. 各告の一般換気用エアフィルタの規格における捕集率の比較に関する指針(JACA No.53),空気清浄, 第56 巻, 第1 号, pp.36-40,2018
5)Noti JD,Lindsley WG,Blachere FM,Cao G,Kashon ML,Thewlis RE,Mcmillen CM,King WP,Szalajda JV,Beezhold DH. Detection of Infectious Infl uenza Virus in Cough Aerosols Generated in a Simlated Patient Examination Room.Clim Infect Dis. 2012; 54: 1569-1577. DOI:10.1093/cid/cis237
6) 公益社団法人 空気調和・衛生工学会 新型コロナウイルス対策特別委員会.新型コロナウイルス感染対策としての空調・衛生設備の運用について2021 年4 月1 日.http://www.shasej.org/recommendation/covid-19/20210507%20kaitei%20syusei.pdf