設計コンセプトConcept

透析

運用に応じたベッド間の間仕切り

木下 博人

間仕切り壁の導入には、目的に応じた様々なパターンがあります。
大きくは、個室・準個室タイプのような空間分離型のもの、ベッド周囲にパネルなどを設置して他者との緩衝材の役割を果たすバッファー型のものに分かれます。

従来から大部屋の中に数室の個室を設ける計画はありましたが、10年程前からプライバシーへの配慮や他施設との差別化を意識して準個室を設ける施設が増えており、現在では間仕切り壁のパターンは更に多様化しています。

 

間仕切り壁の分類

ベッド間の距離は1m以上が推奨されていますが、多くの施設では0.7m から1m 程度のベッド間隔が採用されています。
限られたスペースでベッド数を何台確保できるか検討を行う際にもベッド間隔は重要な条件となります。
ベッド間に設置する仕切り板や間仕切りは患者のプライバシーを確保するだけでなく、ベッドの間隔を広くできない時に患者同士の飛沫感染などを防ぐ手段にもなります。

バッファー型_仕切り板

隣の患者の顔が見えない長さの仕切り板を設置しています。
患者の胸位まで隠れてお互いの顔が見えないので、安心感があります。
仕切り板を半透明なアクリルなどで作り、明るさを確保したり、圧迫感を軽減しています。
固定タイプ・移動タイプともに、監視装置が隠れる程度の幅にすることで、緊急対応時でもベッド周りのスペースが確保しやすく、スタッフの作業性がよいという利点があります。

バッファー型_間仕切壁(サイドのみ)

ベッドが隠れる長さの間仕切り壁をベッドの両側に設置することにより、プライバシーを確保できる反面、ベッドへのアクセスや緊急時の搬送方法などを十分検討する必要があります。
ベッドの足元が開放されていますが、遠くからはベッドを視認しづらいため、見守り方法やスタッフステーションの配置など運用面をふまえて計画することが重要です。

空間分離型_準個室

患者のプライバシーを守りつつ治療する場として、準個室が増えてきています。
準個室は天井まで壁で覆わずに、見守りとプライバシーが両立できる壁の高さとします。
扉を設けることで、個室内で更衣をする運用も見られます。
建具メーカーでも高さ1.5m~1.7mの扉付きパーティションが開発されており、テナント改修などで採用しています。

プライバシー確保と緊急時のストレッチャー横付けを両立させるパーティション計画

大雄山駅前の商業施設内の医療モールにある透析クリニックです。
大部屋案から検討を始めましたが、プライバシーを重視した患者に選ばれる施設をコンセプトとし、準個室主体の計画としました。
準個室はパーティションと扉で区切られており、感染対策として個室を1室設けています。

大雄山セントラルクリニック

緊急搬送を考慮し、ストレッチャーの横付けを可能に

建具は、引き戸と開き戸によって構成されており、開き戸を2段階で開くことで、必要に応じて扉の有効幅を大きくできます。
患者の緊急搬送時には、最大限扉を開くことで、ベッドにストレッチャーを横付けするのに必要な2mの開口幅を確保することができます。

運用に応じてブースを開いたり閉じたりする

空間一体型_大部屋一体型

大部屋透析室の一部に、可動パーティションによって必要に応じて個室化できるブースを設ける計画も増えています。
普段は大部屋として運用しますが、パーティションを閉じて個室化することで大声やおむつ替えの臭気などへの対策、飛沫感染対策として活用できます。

横田記念病院 パーティションを開け放すことで大部屋の一部として利用できる

大部屋透析室の一角に設けた個室の例です。
扉を大きく開け放すことで大部屋と一体的な利用が可能です。
さらに、透析室とは反対側に管理エリアに通じる扉を設けています。一般の入室動線とは別に個室への動線を確保することで、時間的隔離なしに熱発者の受入れが可能となります。このように入室動線に配慮した計画は、運用面においてもインフルエンザなどの感染症対策として非常に有効です。

岡山中央病院