作品紹介Works

集合住宅

丹後中央病院職員寮 オーチャード大宮

竹野川

計画地の京丹後市大宮町は、北近畿タンゴ鉄道の沿線にあり、 周囲には田畑が広がり、その先には小高い丘や山々が望める 見晴らしのよい場所にあります。最寄駅から敷地までは歩いて7分程度ですが、その途中に竹野川があり、駅からの短い時間の中でも風景の変化が楽しめるような立地と なっています。

建物の配置は、台形状の敷地に対し、将来の増築スペースを敷地奥に見込んだ上で、できる限り道路面からの引きを 確保するよう 計画しました。 手前の微妙に視線を遮る塀は、入居者の方の建物に至るまでの気持ちの切り替えとしての「間」と、 ごみ置き場スペースの 目隠しを兼ねて計画しました。

オーチャード大宮の「オーチャード」には、果樹園という意味があり、それはこの土地に柿の木と蜜柑の木が植わっていたことに因みます。 特に、柿はこの地域の家々でよく目にする風景で、建物の色を考える時にも柿を連想させる色が使えないかと いうのが一つのヒントになり、 最終的に塀や風除室の壁の色と して採用するに至りました。建物手前に植えてある樹木は株立ちのケヤキです。いくつかの候補の中から枝が横によく広がったものを選定しました。南面で陽当たりも よく、周囲にも十分伸び広がる余地もあり、ゆくゆくは建物の高さも越え、大きな木陰をつくってくれることを期待し、建物と合わせて地域の 風景をつくっていってほしいと思います。

入口付近は積雪の多い地域ということもあり、庇ではなく広め のポーチをつくり、ここで傘を畳んだりコートをはらったりできるように 想定しています。また、ポーチを縁取る水切りを兼ねた門型のフレームは遠くから眺めた時の建物の入口としての サインの役割も 持たせています。

風除室にはガラスブロックを用い、中でも外光を一旦反射して 天井面を照らす「指向性」というタイプを選び、風除室により多くの光を 招き入れる計画としました。同じガラスブロックを 1住戸だけですが、居室部分にも計画しています。

バルコニー腰壁には目隠しと通気を兼ねた空胴ブロックを用い ています。ただし、1階部分についてはもう少し目隠しが必要と思い、 空胴ブロック1つ置きにブロックの色に合わせた着色 モルタルを充填しました。結果、模様としても面白いパターン になったと思います。 また、土と接する足元部分は現在は土ですが、その内にまた野草が茂ってより自然な形に馴染んでくれればと思い、土を建物側に向けて 少し盛り上げて仕上げています。

建築主
丹後中央病院
所在地
京都府京丹後市
用途
職員寮
構造
鉄骨造
階数
地上2階
敷地面積
1,492.70㎡
建築面積
261.09㎡
延床面積
465.40㎡
竣工年月
平成24年3月
担当者
清水大輔