作品紹介Works
高齢者
ハーベストコート桜丘3号館
地域に開かれたカフェと職員寮を併設したサービス付き高齢者向け住宅
兵庫県西脇市JR加古川線本黒田駅徒歩5分。社会医療法人社団正峰会の大山記念病院を中心に、同法人グループが運営する子供からお年寄りのための施設が建ち並び、さながらコンパクトタウンを形成しているエリアがあります。 本計画はその「まち」の中に地域包括ケアの一環として、高齢者のための住まいを新築する計画です。
ハーベストコート桜丘は同法人の高齢者向けの住宅です。既存の1号館と2号館は住宅型有料老人ホームで、1号館は医療ニーズが高い方の入居を、2号館は介護が必要な方を対象としています。今回計画する3号館は、比較的軽度の要介護者を対象とした西脇市内で初めてのサービス付き高齢者向け住宅となります。 入居者の方は介護・医療サービスを近接する大山記念病院(訪問診療)及び正峰会グループの在宅事業所(桜丘ケアプランセンター、桜丘訪問看護ステーション、桜丘ヘルパーステーション、桜丘デイサービスセンター)から受けることができます。 また、要介護度が上がったり、医療ニーズが高まれば、1号館、2号館へ移り住む事も想定されています。
計画敷地周辺の正峰会グループ施設群(画像: Google, Maxar Technologies)
建物は3階建てで、2,3階がサービス付き高齢者向け住宅となっています。1階には前面道路に面し、地域に開かれたカフェと、病院で働くスタッフのための職員寮があります。 2階、3階にはそれぞれ単身者向けの居室が30室あり、L型平面の中央に2面から採光を取れる南向きの明るい、ゆったりとした広さの共用の食堂を設けました。 食堂には整備基準上、居室10室につき1か所のキッチンの設置が求められました。1フロアには合計3か所のキッチンが必要ですが、その内の2カ所をスタッフカウンターと共に1か所にまとめ、使い勝手に配慮しました。
2階、3階食堂イメージ
入居者の居室は18㎡/戸で、洗面、トイレ、収納を室内に設けています。室内のトイレの扉は引戸と開き戸を組み合わせたもので、通常は引戸のみを用いますが、引戸、開き戸両方をフルオープンにして、ベッドサイドトイレとしての利用も可能なものにしています。 居室2室を室内の扉で連結して使用できるコネクティングルーム型式の部屋を設けることで、夫婦や兄弟、姉妹での入居にも対応できる仕様としています。
サービス付き高齢者向け住宅 居室
浴室は各フロアに3カ所あります。キッチンと同様に居室10室につき1か所の整備が必要でした。介護向けユニットバス(2024サイズ)の他に、2階には座位での入浴に対応した機械浴を、3階には三方介助がしやすい縦置き浴槽を設けたものをそれぞれ設けました。3種類の浴槽を設けることで、入居者の身体的状況に幅広く対応でき、介護者、介助者の入浴介助の労力軽減にも配慮しました。
外観は既存の1号館、2号館に色調を合わせ、一群の建物としての統一感を持たせています。その一方で、交通量の多い道路に面しており、1階カフェの集客のためにも目立つ要素が必要だろうと考えました。バルコニーの手すりをコンクリートとアルミのリズミカルな反復表現とすることで、自動車で前を通り過ぎても印象に残る建物になるように心掛けました。 インテリアについては、高齢者施設らしくないインテリアを要望されたことから、壁面には木目調の素材をあえて使用せず、様々な色やテクスチャのクロスを採用することで、入居者の方々が元気に、楽しく暮らし続けることができるように、落ち着きがありながら、多少刺激的な場所づくりを心掛けました。 1階の地域に開かれたカフェ「Kurudot」の内装は内装専門のデザイナーの協力のもと、都会的な雰囲気のインテリアとなっています。
2階食堂
カフェ Kurudot
- 建築主
- 株式会社 新緑
- 所在地
- 兵庫県西脇市
- 用途
- サービス付き高齢者向け住宅
(老人ホーム(食事提供があるため)) 約2,700㎡
職員寮
(共同住宅(各住戸にキッチン、浴室、洗面完備のため)) 約360㎡
カフェ(飲食店) 約200㎡
※( )内は建築基準法上の用途
- 構造
- 鉄骨造
- 階数
- 地上4階
- 敷地面積
- 約3,200㎡
- 建築面積
- 約1,300㎡
- 延床面積
- 約3,260㎡
- 竣工年月
- 2020年1月31日
- ハーベストコート桜丘3号館
- http://seihoukai.gr.jp/harvest3/
- サービス付き高齢者向け住宅情報提供サービス
- https://www.satsuki-jutaku.jp/search/detail.php?house_id=101043
- 担当者
- 相本正浩