作品紹介Works
障害者
グループホーム もちぶね荘・たじま荘
障害者支援施設 こころみ学園のそばに計画されたグループホームたじま荘・もちぶね荘は、4名定員の2つのグループホームの移転新築でした。もともと民家を利用した地域のグループホームの建物でしたが、それが老朽化したことと、利用者の高齢化にともない住みにくくなっていたため、今回の計画となりました。
支援が多く必要となれば、入所施設で支援を受けながら住むという選択肢もありますが、グループホームに住み続けたいという利用者の願いを尊重したものです。
『「大きな家族」の一員として、何かを成し遂げた達成感や喜びを味わう手段の一つとして、身体を動かし、汗を流して働くことを、なによりも大切にする。』というこころみる会創始者 川田昇さんの施設理念は、グループホームにおいても同じく実践され、建て変わった2つのグループホームの入居者は、一つ屋根の下で暮らし、日中はこころみ学園の生活介護やあかまつ作業所へ出かけていく生活となります。
2つのグループホームを一棟で計画
4人定員の2つのグループホームですが、建物は一棟で計画しています。2つのグループホームは土間空間を中心に配置されていて、土間に面した格子戸がそれぞれのグループホームの玄関となっています。

平面図(左側がもちぶね荘 右側がたじま荘)

中央の通り庭(土間空間) 利用者の生活にゆとりをもたらす
自立的にすごす利用者の住まい〈もちぶね荘〉
西側のグループホーム「もちぶね荘」は、自立的にすごす利用者の住まいとなっています。入居者の居室4室は、リビングに面して南面・西面に配置しています。 各自が自室で過ごす時間が主になると考えているプランです。 食堂・リビングは少しコンパクトにつくってあり、4人がテレビを見たり食事をしたりするスペースです。キッチンは壁で区切られるようなつくりにしていて、利用者の状況に応じて閉じたりしています。 身体的にも自立度の高い利用者で、基本的にトイレや浴室はご自身で利用する想定です。将来的に一部介助が可能なスペースを確保したトイレ・浴室プランを計画しています。浴室は、手摺を設置し、シャワーキャリーが動きやすいユニットバス(1620サイズ)を採用しています。

もちぶね荘の食堂

〈もちぶね荘〉のキッチン 扉と壁で仕切られている

〈もちぶね荘〉のユニットバス 脱衣室には折り畳みベンチを設置

〈たじま荘〉の食堂・リビングの様子 奥が食堂 手前がテレビを見るスペース
介助が必要な利用者を想定した〈たじま荘〉
東側のグループホーム〈たじま荘〉は、介助が必要な利用者を想定したつくりとしています。 たじま荘の食堂・リビングは、〈もちぶね荘〉の食堂・リビングより 1.6倍の広さの計画とし、天井も高くのびやかな空間としています。これは、車椅子や歩行器を使う利用者や、食事介助が必要な利用者を想定した広さで、さらに年齢を重ねグループホームで過ごす時間が長くなったとしても、気持ちよく過ごせるリビングとして計画しています。食堂の一角には対面型のキッチンが置かれ、リビングでくつろぐ利用者を見守り、コミュニケーションをとりながら、スタッフの方が食事の準備をします。 時には、〈もちぶね荘〉の利用者と一緒に食事会をすることもできます。

〈たじま荘〉の対面キッチン

〈たじま荘〉の浴室・脱衣室 (ユニットバス 2024サイズ)
実際の住まわれ方
建物が完成しグループホームの入居者の方が住まわれて数年、現在では2つのグループホームそれぞれの個性が表れています。 同一建物でありながら少人数での住まいとすることで、利用者の人間関係や過ごし方を大切にしながら、おだやかな生活が営まれています。 このグループホームで住み続けるために、スタッフの方は看取りまでを行うことを想定しておられ、居室のならびや介護度に応じた 建築の工夫や、利用者・スタッフの居場所づくりが自然な形ではぐくまれていることが見受けられます。 通り庭(土間)を通じたグループホーム同士の交流や、重度化・高齢化への対応を実現し、支援の質を高めていく。 グループホームの今後の在り方の一例となる事例です。

〈もちぶね荘〉のリビングの様子

〈たじま荘〉の食堂・リビングの様子 奥のキッチンで食事の準備中
- 建築主
- 社会福祉法人こころみる会
- 所在地
- 栃木県足利市田島町
- 用途
- 障害者グループホーム
- 構造
- 木造
- 階数
- 地上2階建
- 敷地面積
- 18,084.87㎡
- 建築面積
- 294.81㎡
- 延床面積
- 284.87㎡
- 竣工年月
- 2019年10月
- 担当者
- 岩﨑直子